ギルバド(1) ‐ Lineageシリウス名鑑解説

今回のシリウス名鑑コラムは「ギルバド」さんです。
この人は、間違いなくベータテスト期のリネージュを彩った一人でしょう。知らない人はいないくらいの知名度がありました。ただし悪名で、ですが。
少し長くなりそうなので、複数回に分けたいと思います。

まずは名鑑での紹介内容を引用します。
■ギルバド 君主
まだ自分のレベルより高いレベルの犬が、言うことを聞いた時代。
知り合いのツテで高レベル犬を手に入れ、DKに明け暮れていた君主。
非常に人を怒らせるのが上手。煽り上手。
だが仕様変更により高レベルの犬が言うことを聞かなくなり、それと共に消えていった。
のちにOimとなり、PKサモナーとして復活。
また別キャラに、バルディオスという君主もいた。

PKなのか? DKなのか?

ギルバドのメインキャラクターのクラスは、君主(プリンス)でした。
君主は血盟を作ってリーダーとなれる唯一のクラスですが、非常に戦闘力が低いです。そのため、そのままでは戦いに適しません。

ですが名鑑に書かれているとおり、リネージュ初期の頃は自分よりもレベルが高い犬を連れることができ、その犬を使って対象を攻撃することが可能でした。彼はその仕様を利用したのです。
彼の所持すしていた犬は、当時としてはLVの高いドーベルマン(※1)。それを使い、彼は他のプレイヤーやそのペットを襲い続けました。

それはもう大暴れの域であり、各地で被害が出続けることになります。
当時はLV15から全チャ(=全体チャット)が使えましたので、襲われた初級~中級者が「DKされて犬をロストした」「PKされて装備を落とした」「経験値を返せ」などと騒ぐのをよく見かけました。覚えている人も多いと思います。
まだベータテスト期でサーバーの平均LVも低い頃です。アデナがなくて復活スクロールも満足に買えなかったり、ロウフル値がマックスになっていなかったりするプレイヤーがゴロゴロしていましたので、まあ当然ですね。

シリウス名鑑には「DK(=Dog Kill)に明け暮れていた」と書かれていますが、他プレイヤーの犬限定で襲っていた事実はありませんので、最初からPK(=Player Kill)に分類されるプレーをしていたように思います。

栄枯盛衰

しかし、彼のプレイヤーとしての寿命は決して長くはありませんでした。栄枯盛衰とでも言うのでしょうか。ギルバドという名前を徐々に聞かなくなっていきます。
シリウス名鑑では「仕様変更によって高レベルの犬が言うことを聞かなくなった」ことを理由に挙げていますが、私はそれだけが原因ではないような気がしています。

2002年にベータテストが終了して課金が始まると、プレイヤーに多様性がなくなっていき、真剣にレベル上げやボス攻略に取り組む人の割合が上がっていきました。その結果、低・中レベル者が減っていき、ギルバドを相手にする人も少なくなってしまったのです。
ストイックにキャラを育てるプレーに楽しさを見出せないギルバドは、サーバー内の大きな流れに乗っていけず、取り残されていった――という見方もできるのではないでしょうか。

その証拠に、ギルバドはその後Oimという名のウィザード(※2)で復活し、犬ではなくサモンしたバグベアーでPKをするようになりましたが、それも少しの間しか続きませんでした。

君主なので血盟を持っていた

前述のとおり、君主というクラスは自分の血盟を持つことができます。
ギルバドも自分の血盟を所持しており、「闇幻影旅団」血盟という名前でした。由来について正確なところは不明ですが、2001~2002年という時期を考えますと『HUNTER×HUNTER』に登場する盗賊集団「幻影旅団」からとったものと思われます。

血盟の所属員は、当然と言えば当然ですが、そのほとんどが彼と同じようにPKやDKをするプレイヤーたちで占められていました。
人数も多く、最盛期は10~20人程度のアクティブなプレイヤーが所属していたと記憶しています。攻城戦をおこなったこともありました。

意外なところでは、同時期にDKとして活動していたトキタカが、ごく短期間ではありますが血盟員だったことがあります。
また、のちにYoGoReの女王(むこもん)とともにYonglee引退後のGangster血盟を運営することになるKaiousinも、ギルバドの血盟に所属していたことがありました。


(2)に続きます。





---------------

※1 「黒帝ダイ」という名の犬。由来は不明です。Oimとして復活したときにはもうこの犬はいませんでした。本人いわく「あの犬どっかいった」だそうです。
※2 育てたのではなく、すでに育っていたキャラを入手したそうです。

更新情報