ギルバドとトキタカの違い
当時ギルバドとよく比較されたのが、トキタカです。無差別にPK・DKをおこなっていた(※1)という点や、知名度が抜群に高かったという点で共通しています。比較されてしまうのも致し方ないというところでしょう。
私も、ギルバドはどんなプレイヤーだったのだろうかと考えた場合、同時期に活躍した両者の比較は非常に重要だと思いますので、この記事でも取り上げてみます。
両者の違いで大きな点は、
(1)キャラクターを大事にしていたかどうか
(2)味方からの人望があったかどうか
の二つだと考えています。
キャラ育成ができなかったギルバド
まず、ギルバドはトキタカと違い、まともにキャラクターを育てていません。DPKに使用したドーベルマンは他のプレイヤーから譲り受けたものですし、犬の仕様変更後にPKで使用していたウィザードキャラOimについても、自身でLV上げして育てたキャラではなく、アカウント譲渡で入手したキャラクターであると聞いています。
彼はRPGでは重要な要素だと思われる「キャラを成長させる」という行為を、まったく面白いと思っていなかった節があるのです。
いっぽうトキタカは、使用キャラをすべて自力で育て上げ、当時としてはかなり高いLVにまで引き上げていました。
けっしてレベリングが好きだったわけではないでしょうが、キャラを育て上げることもゲームの一部として捉えており、その部分を他の人に投げるという発想はなかったようです。
血盟員からも不評のギルバド
また、両者とも自分の血盟を持っていました(※2)が、ギルバドはとにかく血盟員に不人気でした。プレイヤーとしても血盟君主としてもその言動が血盟員から酷評されており、彼のことを良く言っている人を見たことがないくらいでした。前回記事でも書いたように、一時期トキタカもギルバド血盟に入っていたことがありましたが、すぐに抜けています。とにかく彼とは合わなかったようで、はっきりと「ギルバドは嫌い」と公言していました。
それに対し、トキタカのほうは血盟員から認められていました。彼のことを悪く言う血盟員を、私は見たことがありません。
絆も強く、トキタカがウィザード育成に専念しだしてクラン運営をほとんどしなくなってからも、所属員は彼へのリスペクトをなくすことはなかったと聞いています。
この違いについては、「血盟員をどんな位置づけで考えていたか」の違いであったと考えています。
トキタカにとっての血盟員は、一般的なプレイヤーと同じく、同じ釜の飯を食う仲間でありましたが、ギルバドはそうではなかった。ギルバドにとって血盟員とは、自身の装飾品の一部に過ぎず、利用・消費する対象でしかなかった――ということなのだろうと思います。
アジト出資金持ち逃げ
それがよく現れたのは、アークトゥルスサーバーのサービス開始(2003年4月)のときの話です。すでにシリウスサーバーでは引退状態(※3)であったギルバドは、「幸村」という名のキャラでアークトゥルスサーバーでのスタートダッシュに参加しました。
そこでも彼はぶれることなく、シリウスサーバーでおこなっていたプレーと同様のPK・DKを繰り返していくのですが、やがて血盟員から出資を募り、その資金でアジトを購入します。
しばらくそのままプレーを続けていましたが、ある日突然アジトを売却し、その売却金を持ち逃げするという事件を起こします。
これに激怒した血盟員は彼のもとから去っていきますが、彼は「雑魚は要らん(原文ママ)」と涼しい顔でした。
彼にとって血盟員とは何だったのかがよくわかるエピソードだと思います。
ダメなプレイヤーだったのか?
こう見ていくと、ギルバドはダメなプレイヤーだったのではないか? となりそうですが、私は全然そんなことはないと思います。上で挙げたようなマイナス要素は、決して彼のプレイヤーとしての評価を損なうものではありません。それらもひっくるめて彼のプレースタイルであり、その強烈な個性は、当時のプレイヤーを確かに魅了していました。
トキタカと並び、リネージュ初期を盛り上げた名PKDKプレイヤー。
おそらくその評価で間違いはないでしょう。
もう彼はリネージュにいませんが、今もどこかのゲームで、そのブレないプレーを披露し続けてくれている可能性はあるかもしれませんね。
私は少なくとも、それを期待する一人だったりします。
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※1 トキタカはエルフ(トキタカ)とナイト(時幸)で活動していたころは犬専門のDKでしたが、のちにウィザード(Tokitaka)でサモンBBでのPKをおこなっています。
※2 トキタカは「Tokitaka血盟」という血盟を結成していました。人数はギルバドの血盟よりは少なく、多いときでも10名未満だったものと思われます。有名どころではウィザードの「猫鬼」が所属員でした。
※3 ただしアークトゥルスサーバーのサービス開始直前にシリウスサーバーに「Xx幸村xX」というキャラで密かに復帰しており、アークトゥルスサーバーでのスタートダッシュへの協力者を募っていました。