トキタカ(2) ‐ Lineageシリウス名鑑解説

前回の続きです。

時代の終焉とトキタカの引退

DKやサモナーPKが跋扈する時代は、突然終わりを迎えることになります。
その原因は、2002年4月30日におこなわれた仕様変更でした。
原文を引用します。
このとおり、それまでノーリスクだったDKは、急に高いリスクをともなうようになりました。
そしてサモンでのPKについても、赤ネームやPKカウントでのガード死、地獄行きのリスクが発生するようになりました。

これは巨大隕石のようなインパクトで、非常に大きな気候変動をもたらしました。
無数にいたDKやサモナーPKは、一斉に姿を消すことになります。

一般的には、トキタカもその大量絶滅の際に消えたと思われていたようです。

その認識は間違いとは言えませんが、少し不足のように思います。
彼は上記の仕様変更後も、ナイトの「時幸」を常時赤ネームの捨てキャラとし、それを使って蟻穴などでDKをおこなうことがありました。
仕様変更でピタッとリネージュをやめたわけではなかったのです。

そして実は前々から、彼はすでにプレーのモチベーション維持が困難になっていたという事実がありました。

「もう飽きた」

仕様変更が来る前から、彼は何度もそうぼやいていました。
慰留もされていたようでしたが、楽しくないものは仕方ないという反応でした。
実際にログイン時間も減っており、ゲーム内でその姿を見ることは徐々に少なくなっていました。

彼としては新しい刺激がなくなったのだと思います。
サモンでBBを呼び出せるようになると、ゲーム内で不自由など何もなかった時代です。
サモナーになる=ゲームクリア。
それくらいの感覚だったはずです。
職人肌の彼が飽きてしまったのは致し方ないことだったと思います。

DKやPKサモナーのなかには、わずかではありますが、迫りくるレベリング時代に適応し、ひたすらレベルを上げることで生き残る人はいました。
ですが、トキタカさんはレベリング自体を楽しめるタイプのプレイヤーではありませんでした。
レベリング作業も一応はしていましたが、それは彼がやりたいプレーを実現するために我慢してやるものでしかなかったのです。

なので、基本的にはリネージュでやりたいことをすべてやり尽くし、徐々にプレー意欲を失って引退を決意した。仕様変更はその決意をするきっかけとなったにすぎない――
それが真相により近いのかなと考えています。

元祖嫌がらせクラン『Tokitaka血盟』

前回でも少し触れましたが、彼は自分のクランを持っていました。
それが『Tokitaka血盟』です。
この血盟はPK・DKが集まっていたクランで、全員は思い出せませんが、猫鬼やShibia、DJDJといった有名なPKDKが所属していました。

元祖嫌がらせ専門クランとも言えるものでしたが、トキタカさん自身があまり徒党を組んで活動するタイプではなかったため、クラン活動は盛んではなかったと思います。
クラン員も多くはなく、その後台頭するサルモネラ血盟やSweep血盟のようにしっかりした組織ではありませんでした。

どちらかというと、トキタカをリスペクトするPKDKたちが『時』の字マーク(Tokitaka血盟のエンブレム)を付けるために入るブランド血盟、というイメージだったように思います。

名前は忘れてしまいましたが……
トキタカさんが引退して何年も経ってから、SKTの道具屋で『時』マークを付けている人を見かけたことがありました。

「このキャラはTokitaka血盟に入れたまま大切にとっておきたい」

そう言っていたことが強く印象に残っています。
きっとその人にとって、トキタカさんはいつまでもカリスマDKであり続けたのでしょう。

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