どらまたリナ ‐ Lineageシリウス名鑑解説

今回のLineageシリウス名鑑解説は、「どらまたリナ」さんです。
まずは名鑑の記載内容。
■どらまたリナ エルフ
高レベルエルフ。
エルフのプレイヤーはなぜかこの人を目標にすることが多いらしい。
ただ対人関係でもめる事も多々あるらしい。

高LVエルフ?

「どらまたリナ」という名前は、神坂一氏の小説『スレイヤーズ』から取ったものと思われます。同作品の主人公リナ=インバースの二つ名が「ドラまた」のようですね。

名鑑には「高レベルエルフ」とあります。しかしLV50+とは書かれていません。
どらまたリナさんは名鑑が書かれた当時、LV50にはなっていなかったのです。

なのに名鑑には「高レベルエルフ」。
これはどういうことかと言いますと、当時の『高LV』の定義が今(2020年)とまったく違っていたということがあります。
感覚的には以下のような感じだったでしょうか。

◆オープンβテスト前期(2001年末くらいまで)
高LV者……LV45以上
廃人………あまり『廃人』という言葉自体が使われていなかった気がします。

◆オープンβテスト後期~正式サービス初期(2002年春くらいまで)
高LV者……LV45以上
廃人………LV48以上

LV44とLV45、およびLV47とLV48の間で、わりと明確な線が引かれていたと思います。
なお、LV48になると以下のような状況になりました。

①経験値が上がらなくなる
当時の仕様では経験値の小数点以下が表示されず、LV48以降はあまりにも1%が遠いように感じました。「メーター壊れてんの?」と思う人も多かったと思います。

②死亡リスクが高すぎる
LV48以降で一回死亡すると、経験値が数日分は無駄になってしまいました。
当時はADSL回線の接続が不安定で、アナログ回線の利用者すらも珍しくなく、いわゆる『切断死』が日常的に起きていた時代です。常に切断死におびえ続けなければならないLV48以降でのプレーは、けっして楽しいものではありませんでした。

③攻城戦に参加できない
LV48になると、②のように死亡リスクが高くなりすぎるため、とても攻城戦へ参加できるものではありませんでした。
LV48+のCON型ナイトを持っていたプレイヤーも、攻城戦はLV45+のSTR型ナイトで参加していたケースが多かったと思います。

よって、2002年の春くらいまでは、LV48の達成が一つのゴールとされているような空気がありました。
達成者はその後20%くらいまで上げて、死亡してもLVダウンしない程度の経験値を確保したら、あとはもうレベリング作業を放棄。別キャラ育成に行く――それが常識でありました。
LV48より上を目指すことは現実的ではないとされ、言ってみればLV49以降は“目指す価値がない”とされていたのです。

どことなく、18世紀に未知の南方大陸を求めて南極大陸近くまで探検したキャプテン・クックが、
「これより南に大陸はあるかもしれないが、人類が居住できるようなものではなく、これ以上探検する価値はないだろう」
と結論づけたことを思わせます。
“そのときは”価値がなかったと。

記憶が確かならば、どらまたリナさんはエルフだけでなく他のキャラもまんべんなく育てていたはずです。
ヒアリングはしていないので不明ですが、もしかしたらβテスト期間中に3キャラ以上LV48+にしていたかもしれません。
LV50+ではありませんでしたが、当時の水準ではかなりの『廃人』であったと考えられます。

なので、名鑑の記載は誤りではないということになろうかと思われます。

いつのまにか名前を見なくなった

LV49以降は“目指す価値がない”――。
その常識が破られるのは、

[******] ~さんがLV50になりました。

という全チャでのGMアナウンスをよく見かけるようになった2002年の夏以降でしょうか。
達成者が相次いだため、各ファンサイトでもLV50についての記事がよく書かれるようになり、LV49から先を目指す意味が広く認知されるようになったと思います。

しかし、各所で作成されるようになった『LV50+名簿』に、どらまたリナさんの名前が載ることはありませんでした。

おそらくどらまたリナさんは、そのころにはもうリネージュを離れつつあったのだと思われます。
全チャもよく使う人でしたが、それもいつのまにか見かけなくなりました。

何年かしてから「ちょっと遊びに来た」というようなウィスパーをもらったことはあるので、たまに覗きには来ていたようです。
本格復帰をしていた時期があったのかどうかまではわかりません。

賛否両論だが、おそらく面倒見はよかった人

名鑑にある以下の記載。

「エルフのプレイヤーはなぜかこの人を目標にすることが多いらしい」
「ただ対人関係でもめる事も多々あるらしい」

ずいぶん両極端な評判が並べてあります。
どちらも身内からではなく、一般人からの客観的な評価と思われる書き方です。

私はどらまたリナさんとお話させてもらったことがあります。とても気さくで話しやすいかたでした。
街中や全チャで他のプレイヤーと話している姿もよく見かけていましたし、初心者にアドバイスしているところも見たことがありました。
面倒見のよい人であるのは間違いなさそうに思います。

そして当時の某掲示板などの内容から、狩りマナーの解釈の違いなどで他プレイヤーと揉めていたことも間違いなさそうに思います。

ということは、本当に一般層から賛否両論だったということでよさそうです。

リネージュ内という“狭い社会”の中で、このような相反する評判は共存できたのだろうか?
となるかもしれません。
今(2020年)ですと、たとえば『敵対からは評判が悪いが、身内からは評判がよい』というようなことは十分にあると思いますが、第三者層からの評価が割れるようなことは珍しいと思いますので……。

でも。
思えば、どらまたリナさんだけにとどまらず、この時代は一般層から賛否両論だったプレイヤーが多かった気がします。
不自然に感じるのは、2020年から当時を振り返っているからかもしれないですね。

当時のリネージュは“狭い社会”ではなかった――
ということなのかもしれません。

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